意匠登録で、新しい製品デザインの意匠権を取得できます。意匠権は、他人が類似デザイン製品を無断で製造・販売・使用・貸出・輸出入することを禁止できる独占権です。
商品がヒットしても、見た目ソックリの粗悪品が出されると、評判が落ちます。意匠権はそんなモノマネ品を退治します。中身は違っても外見が似ていれば差止や損害賠償の対象になります。意匠権には、特許権と同様に侵害に対する刑事罰があり、警察の協力を得ることで悪質業者に対応できます。なお、相手にマネしたつもりが無くても似ていればやめさせられます。
もし製品デザインを使いたいという申し入れがあれば、ライセンスして実施料を受け取ることもできます。例えばデザイン頼りの製品では一過性のブームで終わることもあり、製造設備を手配したり在庫を抱えるより、製造能力や販売力がある会社にライセンスして手間やリスクを抑える方が良い場合もあります。
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デザインでも意匠登録(意匠権取得)できないものがあります。意匠制度はデザインにより流通市場で物が売れて工業生産を拡大するのが狙いで、この狙いに合わないと意匠登録不可です。 以下、意匠登録できない具体例(意匠権にならない具体例)を挙げて説明します。
1.物のデザインは意匠登録できますが、物と無関係なデザインは意匠
電気・光・熱などは物ではないため、意匠権を取得不可です。意匠登録できない具体例としては、夜空に打ち上げられた花火があります。
気体・液体は物ですが、一定のデザインを保てないため意匠権を取れません。意匠登録できない具体例としては、噴水や飛行機雲があります
土地建物などの不動産は、工業製品でなく登録不可ですが、組立物置など工業生産されて設置するまで市場流通するものは登録できます。
粉体・粒体の単なる集合など一定デザインを保てないものも意匠登録できません。具体例は、砂・砂糖などです。但し砂糖(粒体)でも角砂糖のように一定のデザインを保つものは意匠登録できます。
単独では市場流通できない「物の一部」も意匠登録できません。具体例はマグカップの取手や靴下のかかとなどです(部分意匠制度を利用すれば可)。但し自転車のハンドルや革靴のかかとは部品として単独流通するため登録できます。
2.物自体のデザインでなければ意匠権になりません。具体例としてはハンカチを花の形に巻いた販売ディスプレイ用のデザインや、複数商品を箱詰したセット販売用のデザインなどは意匠登録できません。
4.工業的にくり返し生産できる可能性がないと登録できません。自然石そのままの置物や観葉植物など自然物は登録できません。また絵画や彫刻など一点物の著作物も登録できません。
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上で意匠制度の狙いについて「製品デザインにより流通市場で物が売れて・・」と説明しましたが、だからと言って「売行きを左右するほど良いデザインでなければ登録できない」わけではありません。
一般にデザインには「カッコいい」「オシャレ」「斬新」「奇抜」「洗練」等のイメージがあります。そのため、デザイナーが考えるようなデザインでないと意匠登録できないと誤解している方は結構多いようです。
意匠登録は、コンテストで入賞するような完成度や、見た人を感動させる美しさとは、あまり関係がありません。意匠登録は、
(1)工業的に生産できる(先に述べたとおりです)、
(2)世の中に同一・類似のデザインがない、
(3)すでにあるデザインから容易に創作できない、
(4)同一・類似のデザイン出願されていない、
などの要件を満せばよく、デザインの優秀性は無用です。
ありきたりに思えるデザインでも上記(1)〜(5)の要件さえ満していれば登録されます。実際、過去の登録デザインを見れば「何でこれが意匠登録されるの?」と不思議に感じるものは多いと思いますが、それは要件を満たすか否か客観的に判断した結果です。
だから、すべての新製品に意匠登録の可能性があります。新製品を出してお客様にご好評頂いても、他社からコピー品が出て売上を落とすとお困りの方は、意匠登録を試してください!
安易なコピー品を撃退できます!
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さて、どんなものを意匠登録するか? 「カッコいい」「オシャレ」「斬新」は、意匠登録には無用と言いましたが、それでもやっぱりデザイン性を問われる製品に限られるとイメージが抜けないと思います。
しかし「デザイン性は関係ない」と思うような製品も意匠登録されており、多くの会社が当り前のように意匠登録を利用する業界もあります。例えば電気器具に組み込む電子部品とか、それを固定するホルダーの金具も結構登録されています。
初心者の方は、そのような状況を知らずに新製品をそのまま市場に投入するケースが多いです。そしてコピー品が出されても手をこまねくばかりで、自社製品がコピー品に埋没するという残念な結果になります。
新製品を出しても他社のコピー品が出回ると売上が落ちるという方、次回の新製品発売の際には意匠登録を利用できないか、弊所にご相談ください。「もうとっくにコピー品が出ているはず」という時期になってもコピー品が出てこないのは良いですよ!
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物品の一部分は単独で市場流通できないため、意匠登録できないと言いましたが、実は、物品の部分デザインを意匠登録したのと同様の効果がある「部分意匠」という制度があります。
例えばマグカップの取手のみを実線で、それ以外を点線で表した図面を出願すれば実質的に取手デザインのみを登録できます。これなら取手のデザインが似てさえすれば他の部分(マグカップ本体)のデザインが違うものでも意匠権侵害でやめさせることができます。
部分意匠は、ペンのグリップ、切削工具の刃面、帽子のひさしなどの部分的なデザインを登録でき、いわゆる良いとこ取りのモノマネ防止に有効です。模倣業者に「部分的には似ていても全体としては似ていない」という言い訳を許さず、貴社デザインの良い部分が確実に保護されます。
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